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ソニー蝕(むしば)む”ウイルス” (熊本日日新聞 12/4 kumanichi forum /ジャーナリスト 阿部重夫)

建築物の構造計算が偽造され、震度5強で倒壊する欠陥マンションやホテルがノーチェックで建っていた事件で、建築を請け負っていた八代市の木村建設が自己破産を申し立てた。背筋が寒くなったのは、当たり前の品質すら省みないクラフトマンシップ(職人魂)の退廃と不遜である。大理石の玄関、広々としたフロアリングの床と見てくれはいいが、見えない壁のなかでは鉄骨鉄筋を減らし、コンクリートも水で薄める「手抜き」は、彼らだけなのだろうか。誰もがそう自問したに違いない。

町工場から世界に雄飛したソニーも、危機の根は同じではないか。薄型テレビなどの出遅れで九月中間決算も減収減益となったが、その病の重さが十一月十九日に大々的に売り出したウォークマンAシリーズで浮き彫りになった。

ハードディスク内蔵型MP3方式で世界を席巻、日本でも携帯オーディオの六割のシェアを奪った米アップルの「iPod」シリーズに対抗する自信作のはずが、発売早々から操作性、記憶容量などを見比べると「iPodより劣る」と評判がよくないのだ。

ソニーが運営するブラウザのブログに発売四日前から「メカ音痴の女の子のウォークマン体験日記」が始まったが、画面に添えた写真などからネット掲示板で「ソニーの自作自演」と嘲笑を浴び、一週間もたたずにサイトは閉鎖されてしまう。ソニーによると、ソニーマーケティングが企画した「ブログ形式のモニター体験リポート」で、ヤラセではなかったというが、アップル製のパソコンを貶めるような表現が誤解を招いたのは事実である。

熱心なソニー信者まで失望させ怒らせたのは、音楽の転送ソフト「コネクトプレーヤー」の動作が鈍く、不具合を起こす(多数の曲を転送すると、ライブラリーが破損するなどのエラーが発生する恐れがある)うえに、従来のソニーMP3機器のソフトを継承していないことだった。ソニーも十項目のバグ(欠陥) を認め、今月二日に改訂版を自動更新する事になった。

機器は鏡面に画面が映る一見漸新なデザインだが、「石鹸箱」「見にくい」「傷がつきやすい」などの声が寄せられている。ソニーの直販サイトに登場した設計者が、基板の真ん中をくり抜く工夫を「電気的に不利になるのは確実だし、強度面を考えるとそうとう無茶をしたなと今は思います(笑)」と得々と語って、顧客をあきれさせたのだ。ソニーでは「『不要輻射』と呼ばれる電磁波が発生するため、通常以上の設計パワーを要した」という意味で、克服したから全く問題はないとしているが、苦しい言い訳に聞こえる。

しかも「弱り目にたたり目」に見舞われた。ソニーBMG(ソニー・ミュージックとドイツのベルテルスマン音楽部門の合併会社)が発売したコピー防止機能付きの音楽CDをパソコンに入れると、「スパイウェア」と呼ばれるウイルスを勝手に組み込んでしまうことが暴露されたのだ。十一月に全米で大騒ぎになったが、日本の大手メディアは広告主ソニーに遠慮してか、片隅でしか報じていない。

しかし、ウイルス対策ソフトでも検知できず、リッピング(音楽CDのデジタルデータをファイル化する)を妨害するほか、どんなCDを聴いたかをスパイしてソニーに知らせる「忍者ウイルス」である。基本ソフトを書き換えてしまい、除去しようとするとパソコンのガードに穴があいて、他のウイルス感染の危険にさらす悪質さだ。

問題のCDはニール・ダイヤモンドの歌など五十以上のタイトル、CNETによれば四百七十万枚に及び、感染したパソコンの台数は一説に五十万台以上ともいう。マイクロソフトはこのウイルスを除去リストに指定し、米国では集団訴訟や州当局の提訴が起きてる。

ソニーBMGは日本に拠点を持たないが、「忍者」入りCDは日本でも売られている。が、ストリンガー会長や中鉢社長らソニー本体の経営陣から一言の陳謝もない。他人事のようにウェブサイトで「当社が輸入販売しておりますタイトルについて、発売元である米国ソニーBMGと協議の結果、米国での対応と同様の対応をしてまいります」とCDの回収と交換をさりげなく公表しただけだ。それがウォークマン発売日前日の十一月十八日。国内サイトのリンク先を米国のサイトに飛ばして、英文を日本語に翻訳しない不親切は意図的とすら見える。

いくら知財保護でも、企業が個人の機器の内部をいじってスパイしていいわけがない。今のソニーはハードもソフトも顧客に不遜すぎはしないか。このままだと、火だるまのSONYは「持っているのが恥ずかしいブランド」になりかねない。

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