ソニーBMG製の輸入盤CDのPC再生時に自動でインストールされるソフトが問題に

海外アーティストのCDが安く手に入るということで、最近、人気が高まってきている輸入盤CDの一部で大きな問題が起こっている。

そのCDは、CDプレーヤーでは再生できるが、パソコンに入れると、あるソフトのインストールを求める画面が立ち上がる。

このソフトをインストールすると、パソコンに重大なダメージを与えるという。

大手のミュージックショップに張られた注意を促す張り紙には、「(ソニーBMG製のCDに)パソコン機器の作動に問題を引き起こす可能性のある『XCP』の使用が判明しました」と書かれている。

アメリカでも人気のセリーヌ・ディオンのCD、ところがこのCDをパソコンに入れると、PCのセキュリティーを弱めてしまうことがわかった。

問題となっているのは、アメリカで発売されているソニーBMG製のCDのうち、セリーヌ・ディオン、シンディー・ローパーやレイ・チャールズといった有名アーティストのCD52タイトル、470万枚。

日本にも問題の輸入盤CDは、少なくとも6万枚輸入されている。 このCDをパソコンに入れると、勝手にあるソフトがインストールされてしまうという。

そのソフトとは「XCP」と呼ばれるもので、このXCPがwindowsなどの基本ソフトを勝手に書き換えてしまい、そのためにコンピューターウイルスが入り込むすきをつくってしまうという。

トレンドマイクロ社の岡本勝之氏は「XCPの動きを悪用して、コンピューターの中に入り込んでしまうというウイルスが、今のところ2種類確認されています」と話した。

しかし、こうした注意書きはCDには書かれていない。

アメリカ市民は「びっくりです。わたしはコンピューターによく(CDを)入れる方なので」と話した。

XCPのようなソフトが組み込まれている背景には、「iPod」などのパソコンを利用した音楽プレーヤーの普及があった。

これらの音楽プレーヤーは、音楽CDをパソコンで取り込んで、「MP3」などのデータにして、再生できるようにする。

ところが、いったんデータ化してしまうと、パソコンで扱うことが容易になり、いくらでも複製できてしまう。 そこで、著作権を保護するために開発されたのがXCPだった。

データに変換できる回数を3回までに制限し、それを監視するために基本ソフトを書き換えていた。

アメリカでは、すでにXCPに対し、訴訟も起こされており、1件につき最大10万ドル(約1,190万円)の罰金が科せられる可能性もある。

XCPの問題について、日本での認知度は低いようだった。

XCPの問題について、日本の窓口である輸入業者は、ウェブサイトで「日本でも同一タイトルのXCP未収録盤との交換を予定しております」とコメントしている。

被害に遭ったパソコンに対しての具体的な対処方法などは、英語で書かれたアメリカのページを案内するにとどまっている。